難しい役でしたが、がんばりました
。
草なぎ剛さん(以下、草なぎ) 日野原先生、はじめまして! お忙しいのに僕の映画をご覧いただいて、ほんとうにありがとうございます。
日野原重明先生(以下、先生) 今、私はあなたの映画を見て、なんともいえない感慨深い気持ちなんですよ。まずね、映画の始まりと終わりのBGMがどちらもピアノでしたね。美しかった。私はピアノがとても好きなんです。
草なぎ 先生は音楽がお好きなんですね。
先生 医者よりも、音楽の指揮者をしたいくらいです。
草なぎ いえ、お医者様もしてください(笑)。
先生 昨日も診察や回診で多忙を極めましたよ。今朝はまずあなたの映画を観て、今こうしてお話をしているわけです。あなた、目が見えない役を、よく演じていましたね。あの、首がゆらゆらと揺れる動き、よく自然に演じているなあと感心しました。
草なぎ ありがとうございます。わからないながらも、がんばって演じたんです。
先生 私はあなたの演技を見て、ヘレン・ケラーを思い出しました。「ウォーター!」と言葉を獲得した彼女の感性のすばらしさ。からだのどこかが不自由な方は、想像できないような驚くべき感性をもっていて、視覚、聴覚、触覚で感じる深さが格段に違うんです。それをあなたは一生懸命表現しようとしていましたね。
草なぎ 先生にそんなふうにおっしゃっていただけるなんて、光栄です。
先生 それから、あなたが演じた徳市さんは、東京の女性や親を失った少年、いろいろな人と出会うでしょう。彼らの過去が、私には透けて見えるようでした。人生とは断片的ではないの。ずっと流れているんです。この映画では、いろいろな人生を歩んできた人たちが温泉場で一時、交差する。その豊かさが私にはわかりました。
でも今の人たちは複雑な条件の中で暮らしているから、毎日毎日が細切れで、人生が刹那的であるかのように感じることが多いかもしれません。そういう若い人たちは、どこまでこの映画を理解できるのでしょうね。
草なぎ 先生はそんなところまで見通していらっしゃるんですか。そんなことまでおわかりになるんですか。
※つづきは本誌で
「山のあなた 徳市の恋」監督 石井克人さんインタビューも掲載しています。
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